xAIがGrokチャットボットのアップグレードを発表
xAIがGrokチャットボットのアップグレードを発表
xAI(エックスAI)は、イーロン・マスク(Elon Musk)によって率いられる人工知能(AI)スタートアップであり、その主要なチャットボット「Grok」の大幅なアップグレードを発表した。これにより、同社はAI業界でのプレゼンスを拡大しようとしている。
12月13日、xAIは、ソーシャルメディアプラットフォーム「X」(旧Twitter)にて、アップグレードされた「Grok 2」チャットボットを利用者に提供開始したと発表した。Grok 2は、前バージョンより「3倍速い」とされ、さらに「精度」「指示の理解」「多言語対応機能」が向上したという。
Grokの新機能と「Grokボタン」
この強化されたGrokは、Xプラットフォーム(X Platform)を活用し、ウェブ検索や引用を統合することで、リアルタイムでのインサイトを提供する。これにより、GrokはX上の投稿やインターネットの広範な情報源を参照し、ユーザーの質問に対してタイムリーでコンテクストに富んだ回答をすることができるようになった。
さらに、Xでは新たに「Grokボタン」が導入され、ユーザーはこれを使ってトレンドの話題を調べたり、現在の出来事に対する深い洞察を得たり、関連するコンテキストを探したりすることができるようになる。
xAIのAPI更新と価格変更
消費者向けのアップデートに加えて、xAIは企業向けAPIにおいても大きな変更を発表した。新たに2つのGrokモデルが導入され、効率性と多言語対応が強化された。これに伴い、API使用料金が引き下げられ、入力トークンの料金が1百万トークンあたり5ドルから2ドルに、出力トークンの料金が15ドルから10ドルに減額された。トークンは、文字数に相当し、1トークンは約4文字に相当する。
APIには今後、xAIの画像生成モデル「Aurora」も含まれる予定だ。Auroraは、Grokチャットボット体験の一部としてX上で登場し、ユーザーにフィルタリングなしで画像を生成する機能を提供している。これにより、xAIはさらにクリエイティブなツールを提供することになる。
Grokの無料利用と今後の展望
xAIは12月6日、ユーザーがGrokを利用するためにX Premium(エックスプレミアム)へのサブスクリプションを必要としないことを発表した。新たに導入されたフリーミアムモデルにより、すべてのユーザーが2時間ごとに最大10回まで無料でGrokを利用できるようになった。また、ユーザーは同期間に最大10枚の画像生成も可能だが、1日あたり分析できる画像は3枚までに制限されており、サブスクリプションを通じてこの制限を解除することができる。
これにより、Grokの以前の提供方式が大きく変わり、X Premium利用者向けに月額8ドル(年間84ドル)の支払いが必要だったのに対して、今ではより多くのユーザーが手軽に利用できるようになった。
xAIのAIツール群の進化
Grokのアップデートは、Xプラットフォームのソーシャルメディアエコシステムを活用し、AI能力を高めるというxAIの戦略を示している。Grokは、ライブイベントやトレンドの理解、微妙な議論を把握するためのダイナミックなツールとして位置付けられている。
さらに、AuroraはGrokを補完する形で、ユーザーに視覚コンテンツを作成する能力を提供しており、そのAPIへの組み込みは、テキスト分析からクリエイティブデザインに至るまで、さまざまなユーザーのニーズに応えるためのAIツール群を提供するxAIのコミットメントを反映している。
競争力強化と価格調整
これらの更新は、OpenAI(オープンAI)やAnthropic(アンソロピック)などの確立された競合との直接的な競争を意識したものだ。Grokは多言語対応や効率性向上を進めることで、ChatGPT(チャットGPT)やClaude(クロード)のような競合に対する有力な選択肢となり得る。また、API使用料金の調整は、コスト効率を求める企業顧客をターゲットにしている。
まとめ
xAIは、Grokチャットボットのアップグレードと新機能導入により、AIツールとしての競争力をさらに強化した。Grokは、リアルタイムでインターネットの情報を取り入れ、ユーザーの質問に対して的確な回答を提供するほか、画像生成機能などを通じてクリエイティブツールとしても活躍している。また、API料金の引き下げと新たなフリーミアムモデルの導入により、より多くのユーザーにとって利用しやすいものとなった。
用語説明
- xAI(エックスAI):イーロン・マスクが率いる人工知能スタートアップで、AI技術を開発・提供している。
- Grok(グロック):xAIが開発したチャットボットで、リアルタイムデータやインターネットの情報を活用してユーザーに回答を提供する。
- API(エーピーアイ):他のソフトウェアとデータをやり取りするためのインターフェース。xAIのAPIは開発者がGrokやその他のAIツールを利用するためのもの。
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参考元:TechCrunch