【解説】WBNBやWETHなどに「W」が付いている理由とは?
仮想通貨の名前に「W」が付いていることがよく見かける。たとえば、WBNBやWETHなどが一例だ。
この「W」は「Wrapped(ラップド)」を意味しており、特定の暗号通貨を他のブロックチェーン上で利用できるように変換するプロセスを示している。今回は、その仕組みについて詳しく解説する。
ラップ(Wrapped)とは?
Wrapped(ラップ)とは、ある暗号通貨を他のブロックチェーンで使用できるように変換するプロセスである。
たとえば、WETH(Wrapped Ethereum)やWBNB(Wrapped Binance Coin)は、元々Ethereum(ETH)やBinance Coin(BNB)として取引されているが、他のブロックチェーンでも使えるようにラップされたバージョンだ。
Wrappedトークンとは?
Wrappedトークンは、ある通貨を別のブロックチェーンで使えるようにしたトークンである。以下は代表的な「W」が付いたラップされたトークンのリストだ。
Wrappedトークンの目的
- 異なるブロックチェーン間での互換性を持たせるため
たとえば、Ethereum(ETH)やBinance Coin(BNB)を、他のブロックチェーン(Binance Smart ChainやSolana)で使いたい場合、ラップされたトークン(WETH、WBNB)を利用する。 - ERC-20規格に準拠するため
Ethereum(ETH)やBinance Coin(BNB)はERC-20トークンではないため、ラップしてERC-20規格のトークンとして使用できるようにする。
主なラップされたトークン(W付きトークン)
- WETH (Wrapped Ethereum)
元の通貨: Ethereum (ETH)
用途: Ethereum(ETH)をERC-20規格のトークンとして利用するためにラップされる。 - WBTC (Wrapped Bitcoin)
元の通貨: Bitcoin (BTC)
用途: Bitcoin(BTC)をERC-20トークンとして使用するためにラップされたもの。 - WBNB (Wrapped Binance Coin)
元の通貨: Binance Coin (BNB)
用途: Binance Coin(BNB)をERC-20規格で利用できるようにラップ。 - WADA (Wrapped ADA)
元の通貨: Cardano (ADA)
用途: Cardano(ADA)のトークンをEthereumで使えるようにラップ。 - WMATIC (Wrapped Matic)
元の通貨: Polygon (MATIC)
用途: Polygon(MATIC)を他のブロックチェーンでも使えるようにラップ。 - WAVAX (Wrapped Avalanche)
元の通貨: Avalanche (AVAX)
用途: Avalanche(AVAX)のトークンをEthereumなどの他のブロックチェーンで利用するためにラップ。 - WLINK (Wrapped Chainlink)
元の通貨: Chainlink (LINK)
用途: Chainlink(LINK)のトークンをEthereumで使うためにラップされたもの。 - WREN (Wrapped Ren)
元の通貨: Ren (REN)
用途: Ren(REN)のトークンをEthereumなどで使えるようにラップ。 - WUSDT (Wrapped Tether)
元の通貨: Tether (USDT)
用途: Tether(USDT)をEthereumやBinance Smart Chain(BSC)で使用するためにラップ。 - WXRP (Wrapped XRP)
元の通貨: XRP (Ripple)
用途: XRPをEthereumで使うためにラップされたトークン。 - WFTM (Wrapped Fantom)
元の通貨: Fantom (FTM)
用途: Fantom(FTM)のトークンを他のブロックチェーン(主にEthereum)で使用できるようにラップ。 - WBCH (Wrapped Bitcoin Cash)
元の通貨: Bitcoin Cash (BCH)
用途: Bitcoin Cash(BCH)をEthereumで使用できるようにラップ。
Wrappedトークンと元のトークンの連動性
ラップされたトークン(WETH、WBNBなど)は、元のトークン(ETH、BNB)と1:1で連動している。
つまり、WETHは常にETHと同じ価値を保持しており、WBNBもBNBと同じ価値を持つようになっている。これにより、ラップされたトークンを元のトークンと同じ価値で交換できる。
1:1の対応
1ETHをWETHに変換した場合、1WETHを保持することになり、逆にWETHをETHに戻すことができる。
流動性の提供
ラップされたトークン(WETHやWBNB)は、ERC-20トークンとして取引所や分散型取引所(DEX)で取引されるため、異なるブロックチェーン上で使用できる。
価値の連動
たとえば、1ETHが1,000ドルの場合、WETHも1,000ドルの価値を持ち、1BNBが350ドルなら、WBNBも350ドルの価値を持つ。
まとめ
WETHやWBNBなどのラップされたトークンは、元のトークン(ETHやBNB)と1:1で連動しており、異なるブロックチェーンで使用するために便利な手段となっている。これにより、ブロックチェーン間での互換性を持たせ、Ethereum(ETH)などの規格に準拠することが可能となる。
用語説明
- Wrapped(ラップド): 元のトークンを他のブロックチェーンで使えるようにラップ(包装)したトークン。
- ERC-20規格: Ethereum(イーサリアム)上で使用されるトークンの標準規格。
- DEX(分散型取引所): 中央集権的な管理者なしで取引を行う取引所。
- ブロックチェーン: 分散型のデータベース技術で、仮想通貨を支える基盤となる。
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