第6回 リップル裁判とSEC問題の最新ニュースを整理する

リップル(XRP)の価格を最も大きく左右してきた要因のひとつが、米証券取引委員会(SEC)との裁判である。
この訴訟は2020年から5年にわたり続き、XRPの法的位置づけを巡る最大の不確実性となってきた。
本稿では、その経緯と2025年時点での最新ニュースを整理する。
裁判の経緯
2020年12月 SECによる提訴
- SECはRipple Labs社を「XRPを未登録証券として販売した」として提訴した。
- これにより米国内での取引所上場が停止され、XRP価格は一時的に急落した。
(出典:Reuters『SEC sues Ripple Labs over XRP sales』, 2020-12-22 → reuters)
2023年7月 地裁判決
- ニューヨーク南部地区裁判所は「取引所での個人投資家への販売は証券に該当しない」と判断。
- ただし「機関投資家への直接販売は証券の可能性がある」と部分的にSECの主張を認めた。
- このニュースでXRPは一時0.9ドルまで急騰した。
(出典:Cointelegraph『XRP price surges after partial legal victory』, 2023-07-14 → cointelegraph)
2024年〜2025年 控訴戦
- SECは控訴の姿勢を見せたが、長期化する訴訟に投資家の不安が高まった。
- 裁判の結末が決まらない中で、XRP価格は0.5ドル前後に停滞していた。
2025年の最新ニュース
8月8日 和解成立
- SECとRipple社は控訴を取り下げ、正式に和解。
- Ripple社は1億2500万ドルの罰金を支払うことで合意した。
- この報道を受け、XRPは短期的に急騰し1ドルを突破した。
(出典:Reuters『SEC ends lawsuit against Ripple, company to pay $125 million fine.』, 2025-08-08 → reuters)
8月22日 控訴審も終結
- 控訴審でも両者が控訴を正式に取り下げ、訴訟は完全に終了した。
- これにより、XRPを巡る5年間の法的不透明感がついに解消された。
(出典:CryptoBriefing『Court approves Ripple, SEC’s motion to dismiss appeal in XRP case』, 2025-08-22 → cryptobriefing)
市場の反応
- 和解後、XRPは再び注目を集め、出来高が増加した。
- ただし、上昇後すぐに利確売りが出ており、短期的な値動きは乱高下している。
(出典:Mexc News『XRP Price Rises as Ripple Ends Five-Year US SEC Lawsuit』, 2025-08-24 → mexc)
NBX編集部の視点
SECとの裁判は、XRPにとって「最大のリスク要因」から「過去の問題」へと変化した。
和解により米国での取引環境が安定すれば、ETF承認や機関投資家の参入が現実味を帯びてくる。
ただし、和解による短期的な高騰に飛びつくのではなく、今後の実需拡大や規制整備を見極めながら投資判断することが重要である。
まとめ
- 2020年にSECがRipple社を提訴し、5年に及ぶ裁判が続いた。
- 2023年に地裁判決で一部勝訴、2025年8月に最終的な和解が成立。
- 不透明感の解消はXRPにとってポジティブ要因だが、価格は依然として変動が大きい。
- 投資家は「裁判終了=上昇確定」と考えず、実需と規制を重視すべきである。
次回は、第7回「リップルと銀行・企業提携の現状と国際送金の将来性」を取り上げる。