第7回 リップルと銀行・企業提携の現状と国際送金の将来性

リップル(XRP)は「国際送金に強い暗号資産」として設計されてきた。
ビットコインが投資資産としての性質を持つのに対し、リップルは実際の決済ネットワークに組み込まれることを目的としている。
そのため、銀行や金融機関との提携状況は、XRPの将来性を占う上で極めて重要である。
本稿では、日本を含む世界の銀行・企業との提携事例を紹介し、国際送金の将来性を整理する。
日本における提携事例
SBIホールディングス
- 日本においてリップル社と最も関係が深いのが SBIホールディングス である。
- 2016年にリップル社と合弁会社「SBI Ripple Asia」を設立し、アジア圏の銀行にブロックチェーン送金ネットワークを展開してきた。
- すでに多くの地方銀行が参加し、送金効率化の事例が進んでいる。
(出典:SBIホールディングス プレスリリース, 2016-05-18 → sbigroup)
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)
- MUFGはリップル社と協業し、ブロックチェーン技術を用いた送金システムを研究してきた。
- 国際送金のコスト削減とスピード改善を目的に実証実験が行われている。
(出典:日経新聞『MUFG、リップルと送金技術実証』, 2017年)
海外における提携事例
Santander(スペイン)
- 欧州大手銀行サンタンデールは、リップルの送金アプリ「One Pay FX」を導入。
- 顧客は国際送金をリアルタイムに実行でき、従来の数日間かかる送金が数秒に短縮された。
(出典:Santander公式サイト『One Pay FX』, 2018年)
American Express(米国)
- アメリカン・エキスプレスは、リップルネットを利用して米国と英国間の送金を実証。
- クレジット決済インフラとの統合が注目されている。
(出典:Forbes『American Express Joins RippleNet』, 2017年)
PNC Bank(米国)
- 米国大手銀行PNCはリップルネットを利用し、法人顧客の国際送金サービスにXRPを採用した。
(出典:Ripple公式発表, 2018年)
国際送金の将来性
- 国際送金市場は年間 数十兆ドル規模 といわれ、特に労働者の送金(リミッタンス)や企業間決済で需要が大きい。
- 従来のSWIFT送金は「高コスト・遅延・透明性不足」という課題を抱えている。
- リップルネットとXRPはこれを解決できる可能性を持ち、実際に商用利用が進んでいる。
(出典:World Bank『Remittance Prices Worldwide』, 2024年)
NBX編集部の視点
リップルの強みは「実際の金融機関での利用」に裏打ちされている点である。
日本ではSBIを中心に銀行送金の仕組みが整備されつつあり、海外でも大手銀行が導入している。
ただし、CBDC(中央銀行デジタル通貨)やステーブルコインとの競合が激化しており、今後は 「XRPの独自優位性をどう確立するか」 が問われることになる。
まとめ
- 日本ではSBI・MUFGがリップル導入を進めている。
- 海外ではサンタンデール、アメリカン・エキスプレス、PNCなど大手金融機関が採用。
- 国際送金市場は巨大であり、リップルの成長余地は大きい。
- 一方でCBDCや他の送金技術との競合が今後の課題となる。
次回は、第8回「リップルETFは承認されるのか?最新の動きと市場への影響」を取り上げる。