ビットコインの月間成長率が1年ぶりの低水準
──ETF資金流入が続く中で売り圧力も
2025年6月のビットコイン(BTC)の月間リターンは、わずか+2%にとどまり、過去1年間でもっとも弱い成長率となる見込みだ。
CoinDeskのデータによれば、6月末時点での価格は約107,000ドル(約1,552万円)前後。これは、2024年7月以来で最も小幅な月間上昇率である。
一方で、米国の現物型ビットコインETFには今月だけで39億ドル(約5,656億円)以上の資金が流入しており、機関投資家の関心が引き続き高まっている。
この「買われているのに価格が伸びない」という状況に、市場は困惑している。
クジラと小口投資家の「売り」が価格を抑制?
オンチェーン分析を手がけるGlassnodeによると、価格の鈍化には“裏側”がある。
注目すべきは「Accumulation Trend Score(蓄積トレンドスコア)」という指標で、これはウォレットの規模ごとに、過去の一定期間でどれだけBTCを増やしたかを評価するものだ。
このスコアを見る限り、今月は大口投資家(クジラ)や小口アカウントからの売却傾向が強まりつつある。
つまり、ETFを通じての機関投資家からの買いが続いている一方で、既存の保有者が静かに利益確定を進めている構図が浮かび上がる。
市場は「調整のタイミング」を迎えているのか?
このように、外から見れば強気に見える状況でも、内部では利益確定の動きが進行している。
価格が上がらない理由は、まさにこの「内部要因」にある。
アナリストたちは、ETFの資金流入と同時に蓄積トレンドが弱含んでいる現状を踏まえ、「市場は健全な調整局面にある」と見る向きもある。
まとめ
- ビットコインの6月の月間リターンは+2%にとどまり、1年ぶりの低成長となった。
- ETFへの資金流入が続く中で、既存保有者による売却が価格上昇を抑えている。
- クジラと小口アドレスの行動が、次の相場展開を占う上で重要なカギとなる。
用語説明
- ETF(Exchange Traded Fund):証券取引所で売買できる投資信託。ビットコインETFはBTCを裏付けとする金融商品であり、米国では2024年から正式に取引開始。
- クジラ(Whale):大量のBTCを保有する個人または団体。相場に大きな影響を与える存在。
- 蓄積トレンドスコア(Accumulation Trend Score):ウォレットごとのBTC保有量の増減を分析し、投資家の買い意欲を可視化する指標。
- 月間リターン:その月の価格変化率。今回の+2%は、ほとんど横ばいに近い結果である。
注意書き
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