Ethereumの「Blob」利用が急増：トレーダーがレイヤー2ソリューションに殺到
Ethereum（イーサリアム、ETH）が今年初めに導入したデータ管理ツール「Blob（ブロブ）」の利用が急増している。この動きは、より高速かつ低コストで取引を行えるレイヤー2（Layer-2）スケーリングソリューションの採用が広がっていることを示している。
今月、Ethereum上で投稿されたブロブ（Blob: Binary Large Object）は、平均21,000件以上に達しており、記録的なアクティビティを見せた3月と並ぶ水準である。このデータは、匿名のデータアナリストHildobbyが「Dune Analytics」ダッシュボードにまとめたものである。
ブロブとは何か？
Ethereumの「Dencun」アップグレードによって導入されたブロブは、大量のデータをまとめて通常のトランザクション（取引）に添付し、オフチェーン（ブロックチェーン外部）に保存する仕組みである。これにより、メインネットへの負担が軽減される。
ブロブは、たとえるなら「手紙が詰まった大きな箱」を一括で送るようなものだ。一方、従来の「コールデータ（Call Data）」は「個々の手紙をそれぞれ発送する」イメージである。ブロブは効率的で費用を抑えられる点が注目されている。
レイヤー2（Layer-2）プロトコルとブロブの関係
レイヤー2プロトコル（BASE、Arbitrum、Optimismなど）は、ブロブを活用してトランザクションをオフチェーンで処理し、それをまとめてEthereumのメインチェーンに投稿している。この仕組みがEthereumのブロック内でのブロブ利用を増加させている。
VanEck社のデジタル資産研究責任者マシュー・シーゲル（Matthew Siege）は次のように述べている。
「ETHとそのレイヤー2の取引は過去最高を更新し、夏と比較して+40%増加している。一方で、平均ブロブ数は約20%増加し、レイヤー2のブロブ手数料が30日間で最高値に達している。」
ブロブ手数料とETHの供給削減
ブロブスペースはEthereumのブロック内における特定のエリアであり、データを一時的に投稿する場として利用される。ネットワークの混雑状況によってコストが変動する。これらのブロブ手数料はEthereumのネイティブトークン「Ether（ETH）」で支払われ、その支払われたETHは市場から供給が削減される形でバーン（焼却）される。
過去7日間でブロブ手数料によって166ETH以上（約8,624,320円：1ETH=51,960円として計算）がバーンされており、これは9番目の規模である。
Artemisのニュースレターによると、ブロブ手数料は歴史的に非常に低かったが、最近オンチェーンアクティビティが急増したことで、価格発見が始まったという。
ETH価格の動向
ETH価格は今週3,546ドル（約546,917円：1ドル=154.12円として計算）まで上昇し、4カ月ぶりの高値を記録した。一方、ビットコイン（Bitcoin、BTC）が5%下落する中、ETHは一時的に市場をアウトパフォームした。
まとめ
Ethereumのブロブ利用の急増は、レイヤー2スケーリングソリューションの採用が広がっていることを示している。これに伴い、ETHの価格やネットワーク活動も活発化している。特に、ブロブ手数料のバーンによるETH供給削減が、価格上昇の一因となる可能性がある。
用語説明
- ブロブ（Blob）
「Binary Large Object」の略で、大量のデータをまとめて処理する手法を指す。Ethereumでは取引データを効率化するために利用される。 - レイヤー2（Layer-2）
メインチェーンの負担を軽減し、取引速度とコストを改善するスケーリングソリューションのこと。 - バーン（Burn）
供給量を減らすためにトークンを永久に市場から取り除くプロセス。
注意書き
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