パキスタンの仮想通貨トレーダー誘拐事件、身代金34万ドル相当を支払い解放
パキスタンの仮想通貨トレーダー誘拐事件、身代金34万ドル相当を支払い解放
パキスタンの仮想通貨トレーダー、モハメド・アルサラン氏が誘拐され、デジタル資産で34万ドル(約5,100万円相当)の身代金を支払った後に解放された。
警察長官グラム・ナビ・メモンによると、事件に関連する7人の容疑者を逮捕したと発表した。さらに、容疑者の中には対テロ部隊(CTD)の職員が含まれていることが判明している。
誘拐事件の概要
身代金支払いと解放
アルサラン氏は12月25日にマングホピール地区で誘拐され、犯人らにより仮想通貨取引所Binanceの口座から約34万ドル相当が複数の口座に強制送金された。その後、ブリゲード警察署管轄区域付近で解放された。解放後、アルサラン氏はマングホピール警察署に事件を報告し、FIR(第一次情報報告書)を提出した。
容疑者の逮捕
警察は、刑法第365条A(身代金目的の誘拐)および第34条(共同行為)の下で捜査を開始。事件の調査はAVCC(反暴力犯罪部隊)に移管され、SSPアニール・ハイダール・ミンハスの指揮下で7人の容疑者を逮捕した。
逮捕された容疑者:
- アシャル
- モハメド・リズワン・シャー
- ウマー・イルシャド
- ムザミル・ラザ
- タリク・ハサン・シャー
- ノーマン・リファット
- ウマー・ジラニ
現在も1名の警察官が逃亡中で、当局は追跡を続けている。
犯行の経緯
アルサラン氏の証言によれば、事件は誘拐の約2~3週間前から始まった。彼のもとに「ハミド」と名乗る人物が訪れ、米ドルの購入を持ち掛けたが、断ったという。12月24日深夜、ハミド、彼の友人ゾハイブ、さらにもう1人がアルサラン氏のオフィスを訪問。支払いの話が曖昧なまま、彼を翌日の未明に誘拐した。
犯人らは警察車両を使用し、アルサラン氏を拘束。仮想通貨ウォレットから資産を移動させた後、現金も奪った。最終的に、彼のスマートフォンをリセットし解放した。
警察の対応と声明
グラム・ナビ・メモン長官は、関与したCTD職員に対しても厳正に処分すると述べた。彼は、「法を犯した者に容赦はない」とし、内部調査を進めるとともに、違法行為を行った職員を解雇する方針を明らかにした。
まとめ
パキスタンの仮想通貨トレーダー誘拐事件は、仮想通貨関連のセキュリティリスクの深刻さを浮き彫りにしている。今回の事件では警察内部の関与も指摘されており、被害者はデジタル資産の流出と身の危険という二重の被害に直面した。
用語説明
- FIR(第一次情報報告書):パキスタンやインドの法制度で、事件の最初の警察記録。
- Binance:世界最大の仮想通貨取引所。詳細はこちら。
- CTD(対テロ部隊):パキスタンの治安部隊の一つで、テロ対策を専門とする。
注意書き:仮想通貨の取引はリスクが伴い、当記事は投資のアドバイスを目的としたものではない。当サイトでは一切の責任を負わないため、自己責任において行うこと。
参考元:Cryptopolitan