米国の金融環境が過去数年で最も緩やかに、ビットコイン(Bitcoin: BTC)は成長を続けるか
米国の金融環境は、過去3年間で最も緩やかである。**シカゴ連邦準備銀行(Chicago Fed)**が提供する「全米金融状況指数(NFCI: National Conditions Index)」によれば、レバレッジ(資金調達の程度)、債務市場、株式市場、伝統的な銀行業務の要素を考慮した週次データが示している。
11月22日に終了した週のNFCIは-0.64を記録。この水準は、COVID-19パンデミック後の2021年8月以来の低さである。
NFCIの解釈と金融緩和の背景
NFCIが負の値を示す場合、金融条件が平均よりも緩いことを意味する。つまり、資金供給が容易である。一方、正の値は、資金調達が困難な平均よりも厳しい金融環境を示す。例えば、2008年の世界金融危機時が該当する。
さらに大局的に見ると、データ収集が開始された1971年以来、現在は最も緩やかな金融状況の一つである。
米国のヘッドラインインフレーション(Headline Inflation: 総合消費者物価指数)は年率2.6%に達し、連邦準備制度理事会(Fed)の2%目標を上回り続けている。2024年9月以降に実施された75ベーシスポイント(0.75%)の利下げにもかかわらず、現在の政策金利4.75%は投資家のリスク志向を抑制できていないようだ。
株式市場と仮想通貨市場の動向
- S&P 500指数:年初から28%上昇し、通算55回目のATH(史上最高値)を記録した。
- ビットコイン(BTC):118%急騰し、仮想通貨市場全体の時価総額は3.5兆ドル(約527.2兆円)に達した(TradingViewのTOTAL指標より)。
ビットコインとDXY指数の関係
通常、リスク資産はDXY指数(ドルインデックス:米ドルと他の主要通貨との相対価値指標)と逆相関の関係にある。DXY指数が100を超えると強いドルと見なされるが、ドナルド・トランプが米国大統領に選ばれて以来、106以上を維持している。
興味深いことに、ビットコインの上昇はこの逆相関を破る動きを見せている。過去30日間でビットコインとDXYの相関係数は0.66に達し、過去7年間で最も強い相関水準を記録した。
米国の総債務が361.7兆ドル(約54,465兆円)と過去最高を記録する中、ビットコインはその流動性吸収能力を活かして成長を続けている。
まとめ
- 米国の金融環境が過去3年間で最も緩和され、リスク資産市場に有利な状況となっている。
- ビットコイン(BTC)は、株式市場を上回る成長を見せ、過去30日間でドル指数(DXY)との正の相関関係を強めている。
- 流動性の豊富な環境が、ビットコインや他の仮想通貨市場全体の成長を促進していると考えられる。
用語説明
- NFCI(全米金融状況指数):金融環境の緩さや厳しさを示す指標。負の値が緩い環境、正の値が厳しい環境を意味する。
- DXY指数(ドルインデックス):米ドルの強さを示す指標で、他の主要通貨との価値を比較する。
- ヘッドラインインフレーション:食品やエネルギー価格を含む総合的な物価指数。
注意書き
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