Jito、Solanaにおけるブロック構築とMEV制御の仕組みを大幅アップグレード
Solana(ソラナ)エコシステムにおいて最も重要なバリデータクライアントを提供するJito(ジト)が、新たなインフラ「BAM(Block Assembly Marketplace)」を発表した。
この新機能により、MEV(最大抽出可能価値:Maximal Extractable Value)の弊害を抑制し、Solanaをパーペチュアル取引所(perps exchanges)やCLOB(中央注文板:Central Limit Order Book)に適したチェーンに進化させる狙いがある。
ブロック空間オークションの主役「Jitoブロックエンジン」
ユーザーがSolana上で取引を行う際、そのトランザクションは高確率でJitoのブロックエンジン(block engine)を通過する。
これはオフチェーンで行われるブロックスペースのオークションであり、Jitoにとっては大きな収益源となっている。
事実、Blockworks Researchのデータによれば、2024年Q4のJito Labsの収益は、ブロックエンジン経由の手数料収入だけで2,500万米ドル(約37億8,000万円※)に達したという。
※1ドル=151.13円換算(2025年7月22日時点)
BAM導入の背景:「想定以上の成長」
Jito LabsのCEOであるLucas Bruder(ルーカス・ブルーダー)は次のように語っている。
「Jitoブロックエンジンがここまで大きく成長するとは当初想定していなかった」
この急成長を背景に、JitoはBAMを通じて以下の3つの課題に取り組む方針である:
- 有害なMEVの抑制
- プロ向け取引所への対応力強化
- アプリとユーザー間での収益共有
Solana上の競争環境に新たな変化
JitoはすでにSolana全体のステークの87%を占める圧倒的な存在感を持っている。
今回のBAM導入により、Solana上でのトランザクション処理の透明性・効率性がさらに高まり、Ethereumなどとの競争においても大きな武器となる可能性がある。
まとめ
Jito LabsによるBAMの導入は、Solanaチェーンにおけるブロック構築の透明性・公正性・収益構造の見直しを図る重要な一歩である。
MEVという課題に真正面から向き合い、ユーザーとアプリがともに恩恵を受けられる仕組みを構築しようとする姿勢は、今後のL1ブロックチェーン競争において注目すべき動きである。
用語説明
- Solana(ソラナ):高速・低手数料を特徴とするL1ブロックチェーン。DeFiやNFT領域での活用が進む。
- Jito(ジト):Solana上のブロック構築を支える主要インフラ開発チーム。バリデータ向けソフトウェアを提供。
- MEV(Maximal Extractable Value):マイナーやバリデータが取引順序を操作して得られる余剰利益のこと。
- BAM(Block Assembly Marketplace):Jitoが導入した新しいブロック組み立て市場。MEV抑制や収益配分機能を搭載。
- CLOB(Central Limit Order Book):中央集権的な取引所における価格決定方式。注文板を用いる。
注意書き
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参考元
※為替情報:2025年7月22日時点のレート 1 USD = 151.13 円(出典:Google Finance)